僕が出逢った、伝説的に面白い人とそのエピソードを紹介します。
今回紹介するのはM氏。
元船乗りという異色の経歴を持つ仕事仲間です。
「M氏、パスポート事件」
昨年の中国ロケの仕事での出来事である。出発日、ラインプロデューサーのM氏が変な色のベンツで家に迎えに来た。成田へ向かう車中、M氏はおもむろに言った。
M氏「マタギちゃん。パスポート持ってきた?」
ボク「・・・・・」
お父さんは心配性のボクは、家を出る前に3回ぐらい確認してるのだが、そんなこと言われると不安になる。あるに決まってるけど「あー、トランクの中の鞄、もう一回確認してー」みたいな。オン・ザ・首都高。
ボク「サッカー選手とかでさ、たまに忘れる人いるよねー」
M氏「いるんだよ。チームにひとりはそんなバカが。ハハハ(笑)」
日曜日の早朝だったのでかなり早く空港についた。無駄に時間をつぶして・・・受付時間の7時になった。だんどりを仕切っているM氏が、キャスト・スタッフみんなのパスポートを集める。
その時、M氏に異変が起こった・・・!
っていうか、その場からこつ然と姿を消したのだ・・・!
プロデューサー「あれ?マタギちゃん。M氏どうしたの?」
ボク「・・・・・・・あれ?」
見回すと、M氏が遠く離れた所でうろうろ電話したりして挙動不審。
受付は始まってるのに、あの人一体何をしているんだろう。
M氏に駆け寄るボク。
ボク「どうしたの?もう受付してるよ」
M氏「・・・・・やばい」
ボク「・・・・・は?」
M氏「俺・・・・・パスポート忘れた」
ボク「・・・・・・・!(絶句)」
正確に言うと、期限切れの古いパスポートを持って来てしまったM氏。みんなとパスポートの色が違うので、事態に気がついたらしい。
(その時のM氏の心の声)
あれ、なんで俺だけパスポート黒いんだ?
あれ、そういえば・・・更新した時・・・
赤く・・・なってた・・・ような・・・・
・・・・・・ま、さ、か・・・・・・・・
恐る恐るパスポートを開いて、期限を確認したあの瞬間を、M氏は一生忘れないと言う・・・。
やっちまった~!!!!!!!!!
集合住宅に暮らすM氏(独身)は、お隣さんを叩き起こし、ベランダから侵入してパスポートをゲットして、直ちに空港へ持って来てくれるように頼んだのであった。
この時7時過ぎ。フライトは9時。無理矢理頼んでも8時半にはパスポートが無いと乗れない。世田谷烏山から成田まで1時間半。
間に合うのか・・・?
普通間に合わないだろ・・・。
しかしっ・・・
お隣さん(システムエンジニアで二児の父)はミラクルを起こした。
8時半ちょい過ぎ、車をかっ飛ばして成田に到着!どんだけ〜。
日曜の朝でギリギリ渋滞が始まる前だったのが不幸中の幸い。
お隣さんにすがりつくM氏。お隣さんが神様仏様のように見えたと言う。こうして我々はみんな揃って無事出国。今確実に言えるのは、あの日のM氏、身長5センチぐらい縮んでいたということ。俺、かなり見下ろしてたイメージがある。
教訓は、古いパスポートは捨てる。ご近所付き合いは大切に。
北京で、天安門を背景にパスポートを持って記念写真を撮るM氏の姿があった。その笑顔は、もはや伝説。